死んだ人が遺体となって家に帰ってくること。また、海外での死去や、遠隔地での死亡、行方不明者の死亡確認などの報道で用いられる婉曲表現。
最近、SNSで「無言の帰宅」という言葉が話題になっているのを見かけました。「行方不明だった夫が無言の帰宅となりました」という悲痛な報告。この一文を読んで、あなたならどんな言葉をかけますか?
実はこの投稿に、多くのSNSユーザーから「生きててよかった!」「今はそっとしてあげて」といった、安堵や励ましのコメントが殺到したんです。一見、心温まる光景に見えますが、これが大きな波紋を呼ぶことに…。
調べてみると、「無言の帰宅」は「遺体となって帰ってくること」を意味する、とても悲しい言葉だと知りました。善意で送られたはずのコメントが、全く逆の意味で相手を深く傷つけてしまう。
この衝撃的な事実に「まさか…」と驚きを隠せませんでした。一体なぜ、こんな悲しいすれ違いが起きてしまったのか。気になって詳しく調査してみることにしました。
「生きててよかった!」の嵐…悲劇の投稿に寄せられた善意の誤解
ことの発端は、SNS「Threads」へのある投稿でした。「行方不明だった夫が無言の帰宅となりました」という、家族の悲痛な報告。しかし、この投稿のコメント欄は、投稿者の意図とは全く違う反応で溢れかえってしまったのです。
「命があってよかった」「大変でしたね、今はゆっくり休んでください」…。多くのユーザーが、「無言の帰宅」を「口をきかずに黙って帰ってきた」状態だと勘違いし、善意からの励ましの言葉を送ってしまいました。
この状況がX(旧Twitter)で拡散されると、「ホラーすぎる」「善意の地獄」と大きな衝撃が走りました。
滝沢ガレソさんの投稿は、この異様な状況を的確にまとめています。
行方不明の夫を捜索する奥さん ↓ 奥さん「夫が見つかりましたが、残念ながら“無言の帰宅”となりました…」 ↓ スレッズ民「良かったですね✨」「これだけ心配かけといて無言とか頭大丈夫?」「無言?まずは謝罪だろうが!」 “無言の帰宅”の意味を知らない人が不謹慎なリプを送りまくる #不謹慎速報 pic.x.com/9kNfQ6J0U2
この「善意の誤読」は、多くの人に言葉の怖さを突きつけました。SNS上では「意味がわかると怖い話レベル」「なんの嫌がらせか?ってなるよなぁ」といった声が上がり、本来の意味を知る人にとっては信じがたい光景として受け止められたのです。
良かれと思って書いたコメントが、悲しみに暮れる遺族をさらに追い詰めてしまう。そんな悲劇が、私たちの目の前で起きていました。
関連ポスト / SNSの反応
行方不明の夫を捜索する奥さん ↓ 奥さん「夫が見つかりましたが、残念ながら“無言の帰宅”となりました…」 ↓ スレッズ民「良かったですね✨」「これだけ心配かけといて無言とか頭大丈夫?」「無言?まずは謝罪だろうが!」 “無言の帰宅”の意味を知らない人が不謹慎なリプを送りまくる #不謹慎速報 pic.x.com/9kNfQ6J0U2
意味がわかると怖い話レベル3くらいなんだけど、「無言の帰宅」を死と結びつけるのはそういう言い回しをなにかの本ななりTVのアナウンスなりで経験がないとわからん話なんやなとの学びがありました。 でも当事者家族からしたら、こんなコメントされたらなんの嫌がらせか?ってなるよなぁ x.com/andymusicwatch…
「無言の帰宅」のやつ、言葉の意味や使い方を知ってるかどうかよりも、前後の文脈を読まずに知らない人に躊躇いなく良かれと思って話しかける、その悪気がない感じがちょっと怖いな…と思ってしまう
SNS上の「行方不明だった夫が無言の帰宅となりました」という報告に対して、「命があってよかったです」「今は色々聞かないであげて下さい」とレスしている人々がいて、びっくりした togetter.com/li/2607275.
今SNSで話題になってるんだけど「無言の帰宅」の意味わかる? 娘「えっ…なんだろう、妻は夫の帰りを心待ちにしてたのにいざ帰ってきた夫はただいまも言わずに自分の部屋に直行するみたいな夫婦不和な感じ…?」 なんでまちがった方向でムダに解像度が高いんだよ
「無言の帰宅」の意味が通じない人々というのが一定数存在するのか……うーむマジっすか、これはつらいなあ🤔
参考リンク
- 行方不明だった夫が「無言の帰宅」と話題に ― Threads発の一文が波紋を呼んだ理由
- SNS上の「行方不明だった夫が無言の帰宅となりました」という報告に対して、「命があってよかったです」「今は色々聞かないであげて下さい」とレスしている人々がいて、びっくりした - Togetter
なぜ?言葉が通じない背景にある「文化の断絶」とAIの限界
それにしても、なぜこれほど多くの人が言葉の意味を誤解してしまったのでしょうか。調べてみると、その背景には、世代間のメディア接触の違いや、コミュニケーションの変化があるようです。
「無言の帰宅」は、主に新聞やテレビのニュースで使われてきた報道用語。そのため、普段からニュースに触れる機会が少ない若い世代には馴染みが薄い言葉だったのかもしれません。
SNSでは「活字読めとは言わんから、漫画でもアニメでも映画でもドラマでもいいから見ろよ」「自分の好きな物、興味のある物しか視界にいれない そんな風に育ったらそりゃこうなるよ…」といった、メディアの偏りが語彙力に影響しているという指摘が多く見られました。
さらに興味深いのは、AIもこの言葉のニュアンスを理解できないケースが報告されていることです。
ChatGPTは「無言の帰宅」という慣用句を知らないと聞いたが、その通りだった。 pic.x.com/wnXy6IZlsQ
『夫は「無言の帰宅」となりました。どうしましょう?』 4つのAIに聞いて、1つだけまともだった pic.x.com/BbZRWdYgQv x.com/emi_tokino/sta…
AIですら文脈を読み取れず、文字通りの意味で返答してしまうことがある。この事実は、今回の問題が単なる「知識不足」だけでなく、言葉の背景にある文化や感情を読み取る「文脈理解力」の欠如という、より根深い問題であることを示唆しています。
画像や短い動画が中心のSNS文化に慣れ親しんだ結果、行間を読む力が弱まっているのではないか、という分析もあり、考えさせられます。
関連ポスト / SNSの反応
この問題の本質は『無言の帰宅』を知らないことではない 別に特定の言い回しを知らないなんて大したことじゃないので でも「このようなご報告になってしまい申し訳ありません」を読んで「無事じゃない」ことを理解できないのはまずい 問題は慣用句を知らないことなんかじゃない、文脈を読めないことだ x.com/AkinobuNakamot…
「無言の帰宅を果たす」がチャットGPTはわからないっていうつぶやきを見たから思わずglockに聞いたらこんな答えが帰ってきた……うわぁ……そうか……この手の慣用句わからないのか…… pic.x.com/Xc3OWLPsdO
ChatGPTは「無言の帰宅」という慣用句を知らないと聞いたが、その通りだった。 pic.x.com/wnXy6IZlsQ
無言の帰宅問題 これも数多あるネット社会の弊害の一つだと思ってる 幼い頃から自分の好きな物、興味のある物しか視界にいれない そんな風に育ったらそりゃこうなるよ… こんなの常用語じゃない!てブチギレてる人もいるけど「普通」に生きてたら自然と身につくのよ 育った環境に疑問を持ってほしい
「無言の帰宅」の意味がわからない連中は、「旅立った」とか「眠りについた」の意味もわからんのだろうな。 旅行に行ったとか就寝したと思っちゃうのだろう。 活字読めとは言わんから、漫画でもアニメでも映画でもドラマでもいいから見ろよ。 TikTokで1000回動画見たって日本語の語彙は増えんよ。
スレッズ民に「無言の帰宅」の意味が分からない人が多いのには、一つ仮説がある。 スレッズは元々インスタ民が流れで作ったアカウントが多い。 画像やショート動画中心の文化で、日本語の読解に慣れていない層が大量に流入し、テキスト主体のSNSではカオスになっているのではないか。
おすすめワードの「無言の帰宅」が、今のSNSの問題を浮き彫りにしてる。 ・無言の帰宅の意味を分かってないコメント存在する ・ChatGPTは無言の帰宅の意味が分からなかった …すべてが繋がった。 「ChatGPT等のAIに適当にコメントを書かせる、インプレAIスパムが増殖している」ことが最大の問題よ。 pic.x.com/qVEYRl4xYs
『夫は「無言の帰宅」となりました。どうしましょう?』 4つのAIに聞いて、1つだけまともだった pic.x.com/BbZRWdYgQv x.com/emi_tokino/sta…
参考リンク
- 「無言の帰宅」がThreadsで誤解拡散?報道用語とSNS世代ギャップの現在地
- 【大炎上】SNS (Threads)「行方不明の夫が『無言の帰宅』となりました」→ 善意の無知が殺到「生きててよかった!」「今はそっとしてあげて!」「ChatGPTやGrokも意味が分からないだって!?」 - 超絶"厳選"ニュースまとめch
「知らなくても仕方ない」?賛否両論から考える言葉との向き合い方
今回の件、知らない人を一方的に責める風潮にも疑問の声が上がっています。「言葉は時代で変わる」「知らなかったから仕方ない」という意見です。確かに、普段使わない言葉を知らないのは自然なことかもしれません。
お恥ずかしながら「無言の帰宅」知らなかった人間です こんなこと言うと変な人から文句飛んできそうだけど、ライトノベル1800冊読んできて出てきた記憶ないので、現代口語としては結構死語に近づいてるんじゃないかなぁ
このように、特定のジャンルに精通していても、触れる機会がなければ知らない言葉はたくさんあります。また、「ご遠慮ください」を「遠慮しなくていい」と解釈する例や、死産の報告に「おめでとう」とコメントしてしまう例など、類似の誤解はこれまでも度々問題になってきました。
「ご遠慮ください」は「遠慮しながらしてもいい」と解釈するし、「身内に不幸があった」は「そのうち良いことありますよ」と励ますし、「無言の帰宅」は「生きてて良かった」になるのか。
ポジティブだなあ! 無知すぎるけど
これらの事例は、単語一つの知識だけでなく、言葉の裏にある社会的・文化的な文脈を想像する力がいかに重要かを示しています。「知らないこと」自体が罪なのではなく、分からない言葉に遭遇したとき、一度立ち止まって調べてみたり、相手の状況を想像したりする姿勢が、SNS時代を生きる私たちには求められているのかもしれません。
今回の騒動は、言葉との向き合い方を改めて考えさせられる、大きなきっかけになったと感じます。
関連ポスト / SNSの反応
お恥ずかしながら「無言の帰宅」知らなかった人間です こんなこと言うと変な人から文句飛んできそうだけど、ライトノベル1800冊読んできて出てきた記憶ないので、現代口語としては結構死語に近づいてるんじゃないかなぁ
「ご遠慮ください」は「遠慮しながらしてもいい」と解釈するし、「身内に不幸があった」は「そのうち良いことありますよ」と励ますし、「無言の帰宅」は「生きてて良かった」になるのか。ポジティブだなあ! 無知すぎるけど
無言の帰宅の意味をわからない人がいるのは本当に驚きなんだけど、聞いた事ない表現だとか、知らなかったから仕方ないでしょ的な人にもびっくりする。じゃ、今知ったでしょ、流石に不謹慎だって気付くでしょ?ならば消すなりしなさいよと思うわけです。
言葉は刃物というけど、刃物になるのは喧嘩やパワハラセクハラばかりではない例 「無言の帰宅」が通じない人達って「帰らぬ人となりました」って表現したら「いつか帰ってくるといいですね」とか言うんだろうか… x.com/andymusicwatch…
あー・・・。 「ペットが虹の橋を渡った」は物理的にはありえないから察せるけど、「無言の帰宅となりました」という表現は、文字通りの「無言で帰宅してきた」の意味で受け取る人も出てきてしまうのか。 日本語難しい。 x.com/andymusicwatch…
引用にあるように 「無言の帰宅」 「身内に不幸が」 「産声はありませんでしたが」 これらが全部死の表現だと分からない人ってある意味幸せなんかな まだ死に一切触れたことないか、ものすごく無知・想像力がないか、しかないよね x.com/andymusicwatch…
参考リンク
「知らなかった」で済ませる前に。言葉の重みと想像力の大切さ
今回「無言の帰宅」を調べてみて、一番に感じたのは言葉の重みと、その裏側を想像する力の大切さです。SNSでは、誰もが気軽に言葉を発信できます。でも、その一言が、画面の向こう側にいる誰かを深く傷つけてしまう可能性がある。
今回の件は、まさにその怖さを突きつけられた出来事でした。
知らない言葉に出会うのは、誰にでもあること。でも、特に誰かの不幸や悲しみに関わるような場面では、「この言葉、どういう意味だろう?」と一瞬立ち止まることが、相手への最低限の思いやりになるのかもしれません。
今回の騒動は、便利なコミュニケーションツールであるSNSとの向き合い方、そして何より、他者への想像力を忘れてはいけないということを、改めて教えてくれた気がします。
同じような悲劇が繰り返されないことを願うばかりです。